医学部受験生へ

医学系受験を目指す諸君へ

受験科目数が多く,センター試験の足切りラインも高いのが医学系受験生の宿命です。

しかし,難関と言われる理由はそれだけではありません。

最近,新しい流れが全国的に見られます。

それは,「国語の小論文」や「英語の小論文」および「面接」が重視される傾向が強まっていることです。

しかも,そのテーマはずばり『医療』です。(英語の小論文には学術論文が出題されることもあります)

この傾向の背景にあるのは,1987年に厚生省(現厚生労働省)が医学関係者を集めてまとめた「21世紀の命と健康を守る医療人の育成を目指して」の中で触れられている『21世紀における医療人育成の考え方』および『期待される医師像』でしょう。

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21世紀における医療人育成の考え方

1. 医療人としての能力・適性に留意した人材選考
単に「受験学力」が高いから医学部等への進学を決めるのではなく,医療人として活躍するに十分な能力を持ちつつ,明確な目的意識を持った者や医療人としての適性を持った者が,医療人になれるような人材選考システムを作ることが必要である。子供の時期から医療や福祉の現場に触れる機会の拡大,中・高等学校における進路指導の改善,社会人等を対象とした特別選抜の実施など大学入学者選抜方法の一層の改善,医療関係学部の編入学枠の拡大などを進めるとともに,医療人育成制度そのものの見直しが求められる。

2. 人間性豊かな医療人
医療人には,幅広い教養を持った感性豊かな人間性,人間性への深い洞察力,倫理観,生命の尊厳についての深い認識などを持つことが強く求められている。医療人育成における人間教育,教養教育の重視を徹底する必要があり,人間的に成熟し幅広い教養教育を修得した後に,医療に関する専門的な教育を行うことも考えられる。

3. 患者中心,患者本位の立場に立った医療人
国民が望む人間中心の医学・医療を推進することが重要であり,この観点に立って医療人に求められる態度・技能・知識を修得する必要がある。講座制の枠にとらわれないカリキュラム編成,少人数教育の推進,実習の充実,患者との接し方,インフォームド・コンセントやチーム医療の重視など,教育内容及び方法の改善が強く求められる。

4. 多様な環境の中で育つ医療人
現在は,高等学校卒業後ストレートに大学の医療関係学部に進学し,さらに卒業後においては,同質社会の中で職業生活を送ることになりがちである。大学における編入学枠の拡大,大学を含む医療機関間の人材交流の促進などを積極的に進め,多様な学習経験,社会経験を有する者が相互に切磋琢磨する環境を作る中でこそ,資質の高い医療人が育成されるものと考えられる。

5. 生涯学習する医療人
医学・医療は日進月歩であり,学部教育や卒業直後の研修で学ぶ内容は,医療の一部と言える。医療人の資質の向上を図り,患者に十分に奉仕できるようになるためには,医療人は生涯にわたり学習することが求められている。学生時代に自己学習力や自己問題解決能力を育成することが重要であると同時に,生涯にわたり医療人が学習を継続できるような環境整備を積極的に進めることが必要である。

6. 地球人として活動する医療人
21世紀においては,国際協力を含め,現在以上に地球規模で医療人が活動する機会が増大することを踏まえた医療人の育成が求められる。

期待される医師像

「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議」最終まとめ

○医師は,生涯を通して最新の知識・技術を学習し,多様な情報を自ら組み合わせ,未知の課題を解決していくという積極的姿勢が必要である。

○医師は,医学・医療の全般にわたる広い視野と高い見識を持つ必要がある。

○医師は,人間性豊かで暖かさがあり,人間の生命に対して深い畏敬の念をもち患者や家族と対話を行い,その心を理解し,患者の立場に立って診療を行う 必要がある。

○医師は,自然科学としての医学を学ぶのみではなく,医学を支える周辺の科学的知識並びに深い教養を備えることに努めるべきである。

○医師は,地域医療に関心を寄せ,健康の保持,疾病の予防から社会復帰に至る医療全般の責任を有することを自覚すべきである。

○医師は,医師としての社会的責任を自負し,社会の健全な発展に対して積極的に貢献することが期待される。

○医師は,自らの能力の限界を自覚し,困難な課題に直面した際には,適当な医療機関等への相談,紹介など適切な対応ができなければならない。

○医師は,医療に従事する様々な職種の人々と適切に役割分担し,良き指導者としての役割を演じていくことが期待される。


 

以上のことから,『単に「受験学力」が高いから医学部等への進学を決めるのではなく,医療人として活躍するに十分な能力を持ちつつ,明確な目的意識を持った者や医療人としての適性を持った者が,医療人になれるような人材選考システムを作ることが必要である』として導入された小論文・面接重視の入試には,「大学側が将来の医師である受験生にどういう資質を求めているか」が色濃く反映されています。

具体的には,小論文や面接を通じて大学側が知ろうとしているのは

1.医療への熱意

2.将来の医師としての倫理観

3.科学者としての適正

の3点に大きく集約できるでしょう。

そして,これらの要素が合否を決める重要なポイントになりつつあります。

したがって,この3点を試すのに都合が良いテーマが小論文や面接で取り上げられるのは必然です。

受験は「傾向と対策」と昔から言われていますから,受験生としてその「対策」を行うのは当然ではあります。

しかし,それ以前に行うべきことがあります。

いやしくも医学を志すならば,日頃から医療関係のニュースに敏感であるべきであり,新聞やオンライン新聞などを利用し医学系受験生として知識と問題意識を深めるべきです。

決して安直な受験対策で切り抜けられるなどと考えてはなりません。

最近の受験において,大学側が重要視しているのは表層的な“学力”ではなく,“人間性(=医師としての倫理観と使命感)”なのですから。

こういう地味な努力をせずして受験対策に走るのは本末転倒と言わざるを得ません。

たとえ,そういう風にして医師になったとしても,使命感なき者は現在の医療現場ではやっていくことはできないでしょう。

そして,こういう日々の努力こそが,“モチベーション”を高め,上記3点の「医師としての熱意」「将来の医師としての倫理観」「科学者としての適正」を育むことにもなるのです。

医学系受験生の諸君,医師を志したその瞬間から医師としての第1歩が始まっているのです。

そういう君たちに“神の手”と呼ばれる世界TOPの脳外科医,福島孝徳氏の言葉を贈ります。

「お金のために働くな。持てる全ての力を患者さんの幸せのために活かしなさい」


医学を志したかつての教え子たちを想いつつ,2016年5月1日に記す

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